不動産投資 現金一括購入、ローン利用 どっちがいいの?
不動産投資は、「現金がたくさんある人がするもの」と考えられがちです。
しかし、不動産投資での物件の購入は、現金で一括して購入するケースだけでなく、ローンを利用して購入するケースがあります。
そこで今回は、不動産投資における物件の現金一括購入とローン利用について、ご紹介したいと思います。
皆さま、お支払いは現金ですか~! それとも、ローンをご利用ですか~!
1.現金一括購入は少数派
マンションやアパートなど現物の不動産は価格が高いため、自宅だった物件を賃貸に出す場合のように、もともと不動産を保有している場合を除き、自己資金だけで不動産投資を始める人は少数派です。
例えば、東京23区内の投資用中古ワンルームマンション(区分所有)の価格は1000万円から3000万円に集中していますが、一般的なビジネスパーソンが、これだけのお金をためて物件を購入しようとすると、果てしなく時間がかかってしまいます。
一方、物件を買いたい時にすぐ買えるのが、現金一括購入の最大のメリットです。このメリットは、この後ご説明する不動産投資ローンを利用する場合では、享受できません。それは、金融機関による融資の審査に時間を要するためです。さらに、審査に通らない可能性もあります。これでは、物件を買いたくても買いそびれることがあります。
これから不動産投資を始めようとしている方の中には、借金を全くしたことがない方もいるのではないでしょうか。「大きな借金はしたくない」「借金は怖い」と考えている方は、100万円台から売り出されている築古戸建てや区分マンションなどを対象として、現金一括購入により不動産投資をスタートさせることができます。自分でためたお金で物件を一括購入すると、不動産投資に対するモチベーションは高まっていくことでしょう。
2.不動産投資はローンが利用できる
不動産投資は、株やFXといった他の資産運用商品とは異なり、ローンを利用できる点が特徴です。自己資金がそれほど多くなくても、物件を一括購入できるほどのお金がためられなくても、不動産投資をすることは可能です。不動産投資ローンを活用することにより、初期投資が少なく済みます。実際に、多くの方が、銀行や信用金庫、ノンバンクといった金融機関でローンを組み、物件を購入しています。
自己資金が少ない方でも融資をうまく活用することにより、不動産を手に入れ、家賃収入が得られます。ローンを利用した不動産投資の利点は、家賃収入による元本の返済を通じて、毎月着実に資産を増やしていけることです。実質的に自己資金だけで投資を始められるため、投資効率が高くなります。これは、不動産投資の「レバレッジ効果」と呼ばれています。
ただし、自己資金が多くあるほど、借入額を抑えられ支払う利息も少なく済むため、投資の収益性を示す利回りは高まります。
不動産投資ローンは、マイホームローンとは金利が異なる点も、あらかじめ理解しておきたいところです。マイホームローンと比べて不動産投資ローンは、金利が高くなっています。これは、不動産投資ローンのほうが貸し倒れのリスクが高い、と金融機関が考えているためです。
不動産投資ローンにおいて、金融機関は、融資を受ける人の返済能力を審査します。その際、考慮されるポイントは、年収、勤務先の安定度、勤続年数、年収に対するローン総額の大きさなどです。こうした個人の属性に加えて、その人が投資する不動産により安定的に収益を上げられるかについてもチェックします。
2018年にスルガ銀行による融資の不正が発覚して以降、金融機関が一棟アパート・一棟マンションを中心に融資を引き締めるなど、最近では、不動産投資ローンの条件・環境が厳しくなっています。物件価格の1割から2割を頭金として求められるようになっており、地道に資金をためて頭金を工面している不動産投資家も少なくありません。
また、物件によっては、ローンを利用できない場合があることに注意が必要です。例えば、築古戸建てや、現行の法律により新たに建て替えができない「既存不適格物件」が、これに該当します。
なお、自営業の方は、金融機関から属性が低い立場として見られるため、融資が受けられないことがあります。この場合、手元に投資用物件を購入するだけの資金が用意できれば、自営業であるという理由で融資の審査に通らなくても、不動産投資を始められます。
不動産投資では、自分の手元にあるお金だけで物件を購入することは少なく、ローンを利用することが多くなります。不動産投資ローンには、メリットだけでなく、デメリットもあります。両者をしっかりと理解し、メリットは最大限に活用しつつ、デメリットをできる限り回避することが大事です。