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消費税引き上げに伴う不動産の経過措置 課税区分とその注意点とは?

2019.10.16

2019年10月1日に、消費税率が10%に引き上げられました。
この増税は家計を直撃するばかりでなく、不動産取引や経営に与える影響も少なくないと考えられます。
今回は、不動産取引・経営に関する消費税の課税対象と非課税対象について中心に、ご説明します。

消費税の課税・非課税の一般的な考え方

消費税は、商品の販売やサービスの提供などの取引に対して課される税金です。最終的には価格に上乗せされ、消費者が負担することになります。
課税か非課税かは、日本国内において事業者が、資産の譲渡、貸付けまたはサービスを、事業として対価を得て行っているかどうか(対価性の有無)によって線引きされます。

では、不動産取引・経営に関する消費税の課税・非課税の対象についてそれぞれ、具体的にみていきましょう。

課税されるもの

まず、消費税が課されるものは次のとおりです。

 ・建物売買代金
建売住宅やマンションを購入・売却する場合、建物の売買代金には消費税が課されます(※1)。

 ・登記関連費用
司法書士や土地家屋調査士の手数料などの、登記に関連する費用は課税されます。

 ・ローン事務手数料
ローンについては、ローン事務手数料が課税対象です。

 ・リフォーム、修繕・メンテナンス費用など
そして、中古物件の増改築などリフォームを行う場合の建築工事費や設計料、
修繕・メンテナンス費用なども、課税の対象となります。

 

課税されないもの

一方、消費税が課されないものは次のものです。

 ・土地売買代金、地代
土地の売買代金には、消費税が課されません(※1)。また、土地の地代も同様です。

 ・家賃、管理費・修繕積立金
賃貸住宅の家賃については、原則として非課税です(※2)。なお、家賃には、敷金や礼金、
更新料なども含まれます。
また、管理組合が徴収する管理費・修繕積立金は、対価性がないため、課税されません。

 ・ローン金利保証料
ローン関係では、ローン金利保証料が非課税対象です。

 ・火災保険料など
火災保険料、保証会社への保険料、団体信用生命保険料は、非課税となります。

注意すべきこと

住宅の消費税率は、物件の引き渡し時期によって判断されます。ただし、2019年3月31日までに住宅の請負契約をした場合は、引き渡しが2019年10月1日以降になっても、税率は引き上げ前の8%が適用されます。

消費税の課税対象は事業者が事業として対価を得て行う取引ですので、事業者でない個人が住宅(居住用)を売却しても課税されません。
ただし、中古物件の売買について仲介業者に仲介を依頼したような場合には、仲介手数料に対して消費税が課されます。

なお、土地売買代金や地代は課税されませんが、土地の売買や貸付けに関する仲介手数料は、土地の譲渡や貸付けに関連する取引ではあっても、売買などのあっせんというサービスの提供の対価となり、課税の対象となります。

賃貸住宅について、管理費・修繕積立金は課税されませんが、管理会社に支払う管理委託料などは課税の対象となります。
また、賃貸住宅の家賃は原則として非課税ですが、事務所や店舗などの貸付けによる賃料は課税の対象となります。

不動産取引・経営に伴う諸費用について、消費税が課されるもの、課されないものを以下に一覧表としてまとめました。ご参照ください。

不動産取引・経営に関する課税区分

消費税率の引き上げにより一般に、取引価格などの費用が高いほど、負担が大きくなります。こうした負担を軽減する、または埋め合わせることが可能な手立てを検討することも必要です。

※1 マンションなどを購入・売却する場合は、購入・売却価額は土地と建物に分けられ、建物価額に対してのみ課税され、土地価額には課税されません。
※2 住宅の家賃でも、1か月未満の貸付けの場合や、別荘の家賃は課税の対象となります。

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